2008年12月11日木曜日

【告知】第3回 西成ジュニア・サイエンス・カフェ『なにわの野菜が地球を救う』

 大阪大学サイエンスショップ受託案件として、高校の農場を使った環境教育プログラムの作成に取り組んでいます。
 まずは、高校生といっしょに環境問題や農業・食糧自給率などについて考える「ジュニア・サイエンス・カフェ」を実施します。



第3回 西成ジュニア・サイエンス・カフェ『なにわの野菜が地球を救う』

 西成ジュニア・サイエンス・カフェは理科や科学に関心のある中学生や高校生が一緒実験や作業をいっしょにしながら、交流する試みです。
 今回は大阪大学と連携した取組みを行います。テーマは『なにわの野菜が地球を救う』!
 ゲストに松平尚也さん(プロフィールは裏面)を迎えて、私たちの身近にある「なにわの野菜たち」が世界的な社会問題である「地球温暖化」と、どんな関係があるのか?を考えてみます。

▼松平さんからのメッセージです。
 「フードマイレージ」っていう言葉聞いたことあります? 「食べモンの(=food) 輸送距離(=mileage) 」という意味。食べ物の生産地と消費地が近ければ、フードマイレージは小さくなって、遠くから食料を運んでくると大きくなる。遠くから運んでくるとエネルギーを使ったり、二酸化炭素(CO2)を排出するので温暖化が進む中で近くで作られた食べモンを食べましょうという意味やねん。
 大阪の食料自給率はなんと2%。食べモンの多くは他府県か海外から来てる。
 でも実は大阪にもジモトの野菜があって、これがおいしくて体にいいだけでなく、温暖化も止める役割がある。その野菜は「なにわの伝統野菜」。天王寺蕪、田辺大根、河内一寸そら豆といろいろある野菜から世界の食料の話まで一緒に考えまひょ。

日 時: 08年12月13日(土)10時〜12時 ※雨天でも実施します。
場 所: 大阪府立西成高等学校農場及び化学実験室
内 容: 【交流】 テーマ 『なにわの野菜が地球を救う』
        1 ゲストと参加者がテーマについて話しあう
        2 西成高校農場で「なにわの野菜」の種をまく (予定)

持参物:筆記用具

申 込: 梅南中学の生徒は龍神先生まで申し込んでください。
      西成高校の生徒は坪庭先生まで申し込んでください。
      地域の方は西成高校の教頭(三上)まで申し込んでください。

連絡先:大阪府立西成高等学校 西成ジュニア・サイエンス・カフェ事務局
 電話(06)6562−5751    FAX(06)6561−3028
      メールアドレス k−mikami[at]nishinari.osaka−c.ed.jp (※[at]を@に変えてください)
 *メールで申し込まれる場合は、お名前・連絡先をお知らせください。

※(独立行政法人)科学技術振興機構サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト事業
※(国立大学法人)大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 共催事業


松平尚也(まつだいらなおや)さん
 AMネット代表理事。アジア農民交流センター世話人。
 京都自由学校で縁農講座を企画。京都京北で農業に携わりながら現場の視点を生かして食や農そして水の循環について考え、調査し発信している。1998年から4年間は京都市中央卸売市場鮮魚で働く。グローバル化と水産・漁業の現場を実践的に調査。 2003年世界水フォーラムが京都で開催された折には市民ネットワークに関わり、桂川上下流交流事業に携わった。その時に出会いがきっかけになり桂川の袂に移住。現在六反の田畑を伝統野菜を作付し未来の食や農業について考える毎日を過ごす


※(独立行政法人)科学技術振興機構
サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト事業
※(国立大学法人)大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 共催事業


▼これまでの西成ジュニア・サイエンス・カフェ
【第1回】10月11日(土)
 《実験》 西成高校農場と梅南中学農場の土を比較してみよう
1 土のなかの微生物を観察する
2 土のなかの養分を測定する
3 みんなで「焼きイモ」を食べる

【第2回】11月22日(土)
《実験》 土の持っている力を実感してみよう
1 西成高校農場の土壌を比較実験が可能なように改良し、それぞれに作物を植
え付ける。
2 西成高校農場の土のなかの微生物を観察する
3 みんなで「焼きイモ」を食べる



サイエンスポータル・オピニオン欄「サイエンスショップ  市民のための科学相談所」

 当プロジェクト研究代表者である平川秀幸(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)の「サイエンスショップ  市民のための科学相談所」が科学技術振興機構のサイエンスポータルに掲載されました。
 (※ちなみに、英中仏の三カ国語への翻訳も掲載されています。便利です。)

2008年11月28日金曜日

【お知らせ】大阪大学サイエンスショップ 短期研究調査 第2回発表会-冬の宴-開催決定!

大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)社学連携事業
大阪大学サイエンスショップ
短期研究調査プロジェクト

第2回 発表会 -冬の宴-

日時:2008年12月11日(木) 18:00~20:00
場所:オレンジショップ (豊中キャンパス 基礎工学部J棟1階)
------------------------------------------------

大阪大学サイエンスショップでは、
ただいま、短期研究調査を実施しています。
短期研究調査は、
身近な疑問を様々な角度から掘り下げ、研究調査を行い、
調べる能力(リサーチリテラシー)を身につけるだけでなく、
調べる楽しさを味わい尽くすプロジェクトです。

現在3つのチームがそれぞれのといに挑戦しています。
1。地球温暖化が進む中、
   花見(桜)はいつまで、できるのか?  (桜組)
2。3秒ルールの真実を探れ!    (Team 3 sec)
3。夢のメカニズムを解明せよ!   (dream team)

第2回発表会-冬の宴-では、
各チームがそれぞれの方法で導いた解を報告します。
真剣な調査と趣向を凝らした発表をします。
3チームそれぞれの健闘っぷりをお楽しみください。

*短期研究調査については、↓↓↓
http://handai.scienceshop.jp/projects/

申し込み方法:どなたでも参加いただけ、参加費は無料です。
       当日、直接会場にお越し下さい。
-----------------------------------------------
主催:大阪大学サイエンスショップ
   http://handai.scienceshop.jp/
お問い合わせ先:scienceshop@cscd.osaka-u.ac.jp

2008年10月9日木曜日

阪大ニューズレター 「研究・調査で市民と大学が連携: 『リサーチリテラシー』を鍛える」

阪大ニューズレターに

研究・調査で市民と大学が連携: 「リサーチリテラシー」を鍛える
大阪大学サイエンスショップ「短期研究調査プロジェクト」が発進

と題する、サイエンスショップの記事が掲載されました(p.7〜8)。

以下のURLでダウンロードできます。
http://www.osaka-u.ac.jp/jp/press/newsletter/pdf/newsletter_41.pdf

2008年10月8日水曜日

第1回大阪大学21世紀懐徳堂シンポジウム「地域と大学が一緒に考える まち育て」

 以下のシンポジウムで、「大学の使い方、教えます~サイエンスショップってなに?~」と題して当プロジェクト代表の平川秀幸の講演があります。


第1回大阪大学21世紀懐徳堂シンポジウム 開催のお知らせ
 社会と大学――新しいパートナーシップのカタチが始まりつつあるのが21世紀です。大阪大学では、社会のニーズに応えるために、社会と大学の連携を“社学連携”と位置づけ、その窓口として2008年4月、大阪大学21世紀懐徳堂を設立いたしました。名前の由来は、江戸時代の「懐徳堂」、自らを向上し、個人のアイデンティティを確立するために、五人の大坂町人が自ら創建した私塾です。

 大阪大学21世紀懐徳堂主催の第一回目のシンポジウムでは、大学から飛び出し、大阪大学にゆかりのある中之島で、市民の皆さんと一緒に、もう一度“大阪”という街の歴史、文化を見つめ直し、自らの手で学問所を作り上げるパワーを持っていた先人たちにまけないような“人”“街”をつくるためには、なにをすべきかを考えていきたいと思います。
 また、現在大阪大学が取り組んでいる社学連携のパイロットケースをご紹介しながら、次代型連携へ踏み出す第一歩として、タウンホールミーティングを開催し、大学人、文化人からの一方通行の情報発信だけでなく、学生そして一般の方にも加わってもらい話し合います。
 
■ 日 程: 2008年 10月 16日(木) 13時00分~
 
■ 会 場: 大阪市中央公会堂 3F 中集会室
         大阪市北区中之島 1-1-27
 
■ 時 間: シンポジウム 13時00分~17時40分
        懇親会     18時00分~19時30分
 
■ プログラム
  【第1部】 未来に引き継がれる“まち”の記憶
  【第2部】 一緒に考える「これからの地域と大学の“社学連携”」
 
■ 参加料: シンポジウム=無料、 懇親会=6,000円(当日申し受けます。)
 
■ 主 催: 大阪大学21世紀懐徳堂
■ 後 援: 大阪市(予定)
 
■ 申込方法
 下記の必要事項をご記入のうえ、FAX、e-mail、ハガキでお申し込みください。
   ①氏名
   ②年齢
   ③ご住所
   ④電話番号
   ⑤FAX番号
   ⑥e-mail アドレス
   ⑦シンポジウムのみ参加の方 = A
     シンポジウム・懇親会の両方参加の方 = B
     懇親会のみ参加の方 = C
 
■ 申込先
 大阪大学21世紀懐徳堂
 FAX. 06-6850-6449
 e-mail : info[ at ]21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp   [ at ]を@に変えてください。
 〒560-0043 豊中市待兼山町1-16
 
◇本シンポジウムについて、詳しくは以下のチラシをご覧ください。
  第1回21世紀懐徳堂シンポジウム/チラシ.pdf      

2008年10月3日金曜日

【お知らせ】大阪大学サイエンスショップ 短期研究調査プロジェクト 中間発表会

大阪大学サイエンスショップ
短期研究調査プロジェクト(Short Term Research)中間発表会
 http://cscd.osaka-u.ac.jp/activity/view/227

 大阪大学サイエンスショップでは、ただいま、短期研究調査を実施しています。

 短期研究調査は、身近な疑問を様々な角度から掘り下げ、研究調査を行い、調べる能力(リサーチリテラシー)を身につけるだけでなく、調べる楽しさを味わい尽くすプロジェクトです。

現在、3つのチームがそれぞれの問いに挑戦しています。

1。地球温暖化が進む中、
   花見(桜)はいつまで、できるのか? (チーム桜)

2。3秒ルールの真実を探れ!  ( Team 3 sec)

3。夢のメカニズムを解明せよ!    (Dream Team)

 中間発表会では、各チームが問いへのアプローチと進捗状況を報告します。
 3チームそれぞれの健闘っぷりをお楽しみください。


*短期研究調査については、↓↓↓
  http://handai.scienceshop.jp/projects/


日時:2008年1 0 月0 7 日(火) 18:30〜20:30

場所:大阪大学 21世紀懐徳堂(豊中キャンパス イ号館)
(http://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/)

主催:大阪大学サイエンスショップ
     (http://handai.scienceshop.jp/)

お問い合わせ先:
メール scienceshop@cscd.osaka-u.ac.jp

どなたでも参加いただけ、参加費は無料です。
   当日、直接会場におこしください。


※PDF版チラシ
 http://cscd.osaka-u.ac.jp/files/9e7eada16ce1bd1c11addae8b870587a.pdf

2008年8月13日水曜日

DeCoCiSチャンネル

 YouTubeでDeCoCiSチャンネル(http://jp.youtube.com/DeCoCiS)を設定しました。
 こちらで、研究の進捗状況や成果発表などを流していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 それと、サイエンスショップの教育プログラム開発の一環として行っているショートターム・リサーチについて進捗状況報告用のブログを設定しました。
 楽しみながら、同時に視野を広げ、調査スキルを身につけるための「ショートタームリサーチ」(目指すは『探偵! ナイトスクープ』)がどのように展開されていくか、随時ご報告していきます。

2008年7月12日土曜日

手法開発ワークショップ。ようやく第1回開催!

うまくいくかな〜というドキドキと、
どんな風になるんだろう、楽しみ〜というワクワクが、
入り交じった気持ちで当日朝を迎えました。

まずは、バースデイリングを使った自己紹介。
身振り手振りでコミュニケーションをとるうちに、
少しずつ緊張もほぐれてきます。
(バースデイリングを使った自己紹介は、参加者にも好評でした!)








そして、本日のメインイベント、グループディスカッション。
だんだん議論が盛り上がってくると・・・皆さん、総立ち。








最後は、グループ毎に自分達の論点を発表して修了。








あっという間の2時間でした。

「久しぶりに、子供のことを忘れて集中できて、きもちよかった!」
「子供以外のことで、ママ同士真剣に議論ができて楽しかった!」
「楽しくてあっという間に時間が過ぎた!」
など、主催者としては嬉しい意見を頂戴することができて、ホッとしています。

とはいえ、やり方としては、まだまだ改善すべきところもあるなぁと感じています。
今後の活動を楽しみにしていて下さい。

2008年6月24日火曜日

第5回科学技術コミュニケーション デザイン・ワークショップ

 本ブログをご贔屓にして頂き、ありがとうございます。


 はじめまして、山内(やまのうち)と申します。
 6月1日より、大阪大学に異動してまいりました。サイエンスショップに関わる実践・研究を担当したします。よろしくお願いします。

 さて、6月14日(土)・15日(日)に、北海道大学「遠友学舎」で、第5回科学技術コミュニケーション デザイン・ワークショップが開催されました。今回は、ワークショップに参加して感じた、悩ましい3つの疑問を報告いたします。

1.協働を成功させる条件とは?
 「市民を集めただけでは『対話』は成立しない」(北海道大学・吉田さん)との指摘には、とても納得がいきました。現在、対話や協働という言葉が、流行語のように使われています。しかし心理学の研究が明らかにしてきた限りにおいては、協働が“成功”(←何を成功とするのかは難しすぎるので、今回は勘弁して下さい)するのは、それほど一般的な現象ではなく、限られた条件(例:参加者間の関係性、課題の構造)の下で実現するといわれています。「3人寄って文殊の知恵を超える」か、「船頭多くして、船、山に登る(←これはこれで凄い!)」かは、一概には言えないのです。どういった目的の科学コミュニケーションが、どういった条件下で成功しやすいのか?「現場での実践」と「基礎的な実験や調査」を両輪にして、明らかにしたいと考えています。

2.事例を比較するために、どのような枠組みが必要か?
 ワークショップで問われた「『科学技術』に関する市民参加の特殊性とは何か」は、考えれば考えるほど複雑な問いです。これに答えるには、何らかの枠組みを用いて事例を並べ、比較する必要があります。2日目のグループワークの課題は「市民参加が必要なテーマを挙げて分類し、それぞれ、どのような市民参加手法が有効なのかを考える」という、まさにその枠組みを考える課題でした。そこで気づいたことは、「遺伝子組み換え食品」「原子力発電」「年金問題」といった対象ベースで考えていては、分類できないということです。むしろ、問題の対象よりも、扱う問題の構造(初期状態・解決手段・目標状態・制約)の方が、市民参加のスタイルを決める重要な要因のように感じられました。そこで難しいのは、参加する市民側なのか、実施者側なのかによって、問題構造に関する認識が大きく異なることです。それぞれが、どういう問題として認識しているのかを明らかにし、そのギャップを議論が可能な程度まで埋めるには、どのような論理や知識が求められるのか。悩みは尽きません。

3.持続するために、どのようなシステムが必要か?
 実践発表の中で、不安の1つとして挙げられたのが「持続可能性」です。質・量ともに安定した科学コミュニケーションというサービス、それを実現するための人材(専門家・運営スタッフ)および運営資金や機材・場所を持続するコストは低くありません。さらに社会に参加型手法に対する新規ニーズを引き出すシステムも重要です。日本でも活躍している非営利団体が、どのように運営を成り立たせているのか、経営学的視点からの検討が不可欠だと感じています。阪大サイエンスショップの試みでも、「ショップを経営する」という視点が欠かせません。阪大サイエンスショップが、長く皆様に愛される店になるように、経営努力にも努めたいと思います。そこで培った「科学コミュニケーションというサービス」のマーケティング手法を、苦労や失敗も含めて広く伝え、役立てて頂ければ幸いです。

 読んで頂き、ありがとうございました。書き足らない部分がありますが、それはまた別の機会に書きたいと思います。それでは、また。

2008年6月9日月曜日

大阪大学サイエンスショップ 短期研究調査プロジェクト 学生リサーチ・スタッフ募集!


募集ガイダンスを開催!

7月からスタートする「短期研究調査プロジェクト」に参加してくださる学生リサーチスタッフを募集します。学部生・院生、専門を問わず誰でも参加できます!ガイダンスの日程は以下のとおりです。ガイダンスに出席できない方は、「連絡先」までご連絡のうえ、個別に相談してください。

■ ガイダンスの日程

日時: 6月23日(月)・26日(木) 18:30~

会場: CSCDオレンジショップ(豊中キャンパス 基礎工J棟1階)http://www.es.osaka-u.ac.jp/access/index.html
     
内容: 
 ・ サイエンスショップについての説明
 ・ 短期研究調査の実施についての説明
 ・ ミニワークショップ

連絡先:  scienceshop[ at ]cscd.osaka-u.ac.jp ([ at ]を@に変えてください)

■ 「短期研究調査プロジェクト」とは?

「短期研究調査プロジェクト」は、1~2ヶ月程度で解決できるような比較的簡単な課題に取り組むものです。簡単とは言っても、扱い方によっては、いろいろ深く・広く研究することもできます。また、単に研究・調査するだけでなく、結果の公表の仕方も、映像などマルチメディアを使ったり、研究・調査のプロセスでも、たとえば取材やインタヴューに行ったときの様子を写真やビデオで記録し、ブログなどで随時報告していくなど、さまざまな工夫ができます。

スタートの段階で扱う課題は、これまで大阪大学サイエンスショップで集めたものや、参加する学生の皆さん自身が考えるものとなりますが、やがては学外から一般募集する予定です。

■ そのほかのサイエンスショップの活動(今後の予定)

サイエンスショップには、ほかにも様々な活動があります。

(1) 中長期研究調査プロジェクト

半年~1年以上かけてじっくり取り組むプロジェクトです。現在は、試行的にパイロットプロジェクトを実施および計画中です。(学外からの課題の受付はまだしていません。)

(2) 研究調査以外の活動

会議やワークショップの企画・開催の支援
教材や資料の制作 (教育関係者やNPOとの協働)
メディア支援 (NPOなどのHPや広報資料のデザイン、マルチメディア支援、翻訳など)
(3) 基盤調査 1: 大阪大学の研究リソースの調査 ~ 社会に貢献する研究を探そう!

地域社会や市民に貢献する可能性のある大阪大学の研究テーマを、研究室取材などを通じて探ります。データベースの構築などを通じて、大阪大学と地域社会とのよりよい橋渡しができるようにします。

(4) 基盤調査 2 : 地域社会の研究ニーズ調査

地域社会には、どのような解決すべき問題があるのか、解決に向けて大学が貢献できる課題は何かを、大阪大学の学生とともに探ります。京阪神を中心とした地域で活動されているNPO/NGOのみなさんに対するアンケート調査やヒアリング調査など、現在、計画中です。

2008年4月11日金曜日

3月11日(火)RISTEXシンポジウムの感想

阪大の中川です。

散歩をしたくなるような春の陽気にもかかわらず、シンポジウムは立ち見が出る程の盛況ぶりでした。

 個人的に面白かったのは、第2部のパネルディスカッションでの北大の吉田さんの話の中に、「社会リテラシー」という言葉が使われていたことです。吉田さんは北海道でGMOに関する様々な会議に関わってこられた方で、その経験を多く語ってくださいました。その話の中で、「専門家の社会リテラシーと非専門家の科学リテラシーはペアで向上していった。」という内容のことを話されていました。

 この場合「社会リテラシー」は「非専門家が言うことを聞き、考えていることを読みとり、話し合おうとする態度をとれ、話し合える能力」ということになるのでしょう。人とディスカッションをすることが多いはずの研究者の社会リテラシーが低いというのは、おかしな話だと思いました。他人とのディスカッションの中で、相手の意見に耳を傾けることで、新しいアイディアが生まれるという経験をしているだろうからです。何にこだわって、専門家(研究者も含む)は壁を作るのだろうと思いました。吉田さんによれば、自分の意見が変わってしまう、そんな「変化が恐い」のだそうです。それは非専門家も同じようですが。

 吉田さんは、経験から「専門家が歩みよると、市民が歩みよる。でもその逆はみられなかった。」ともおっしゃっていました。歩みよりのキーは専門家が持っているようです。両者を隔てる壁が「恐さ」のせいであるならば、壊せるのは作ったご本人しかいないはずです。専門家の方々には是非とも壊して頂きたいなと思う次第です。以上、ちょっとした感想でした。

2008年3月14日金曜日

AAAS年次総会(ボストン)報告

阪大の春日です。
 アメリカでの科学技術コミュニケーションに関する議論を調べるために、ボストンで行われたAAASの年次総会に行ってきました。
 参加レポートをNPO法人サイエンス・コミュニケーションメルマガに掲載しました。
 下に転載しますのでご覧ください。
 また、私個人のブログでも私的な感想を掲載しています(その2その3)。


2008年AAAS総会「グローバルな視点からの科学と技術」報告:
準国家機関としてのAAAS、あるいは、なぜアメリカでは科学者が社会のために努力するのか? 

 2008年2月14日から18日という日程で、ボストンにおいてAAAS(全米科学振興協会:http://www.aaas.org/)の年次総会が開催された。このメルマガの読者であればすでにご存じの通り、AAASは1848年に設立された非営利団体で、「すべての人々の利益のための、世界中の科学、技術、イノベーションの振興」をミッションとしている。総計一千万人以上にのぼる構成員を抱える262団体がメンバーである。また、一般には世界のトップ・ジャーナルとして知られる「サイエンス」誌の発行元として知られている。

 今回、機会があってAAASの年次総会に参加したのでここにご報告する。

*年次総会ウェブサイト
http://www.aaas.org/meetings/

 アメリカ政界にはプロのロビイストが多数活躍しており、クライアントの要望を国政に反映させるべく日々活躍している。これは科学者も例外ではなく、AAASの重要な活動の一つに、若手の自然科学者に資金を提供して政策フェローとしてワシントンの各種組織に送り込むことなどがある。これは、政権が変わると科学技術政策なども激変するアメリカの事情を反映している。例えば現在のブッシュ政権下では、国防関連の研究開発が延びる一方で、その他の研究開発費用は減額されてきている。また、幹細胞など生命科学系の研究は制約される傾向にある。また、気候変動問題については、大規模な取り組みを行うことがアピールされているにもかかわらず、現実の研究費は延びていないという不満も聞かれた。こういった問題について科学者や関係機関が相互に情報交換し、ロビイングにつなげていくのがAAASの大きな目標の一つである。

 その一方で、会場ではニコラス・ネグロポンティなど著名な科学者の講演、150を超える数のシンポジウムやワークショップ、キャリアセミナーや各学協会の会合、そして一般向けや、特に子ども向けのイベント(あるいは子ども達による)発表など、無数のイベントが行われている。シンポジウムではありとあらゆる科学的なトピックが扱われるが、今年度のテーマが「グローバルな視点からの科学と技術」だったせいもあり、気候変動を初めとする環境問題、貧困や第三世界の社会問題(特にアフリカとHIV)に関係するシンポジウムが多数開催されて、熱心な討議が行われていた。

 AAAS会長デヴィッド・バルティモア(生物学 カリフォルニア工科大)の基調講演でも、第三世界の人々の生活は向上されなければならないこと、しかしそれが過度に環境負荷の高い方法で行われないようにしなければならないことが述べられ、そのために会長自身がインド(環境負荷の高い成長の事例と言うことであろう)とルワンダを訪問し、意見交換を行ったことが説明された。その後、ルワンダ大統領自身が登壇し、研究開発への期待も説明された。

 他にもAAASはクウェートとの「アラブの女性リーダー」に関する会議や中国政府との「科学倫理」に関する会合、イノベーション政策に関するヴェトナムとの会合、科学と社会に関する欧州委員会との会合を行うなど、積極的な国際交流を行っている。評議会での報告では、これらの交流について、AAASのカウンターパートになるのはほとんどの場合各国の「科学省」に相当する機関であり、「科学省」を持たないアメリカでAAASが疑似省庁(Quasi-ministry)の役割を果たしているという状況が指摘されていた。

 NGOであると同時に疑似省庁であるAAASというのは、ある意味で、非常に自信に満ちた見解であり、アメリカの科学者達が目指しているものや置かれている状況をよく表しているだろう。これを反映して、評議会では人権問題にも多くの時間が費やされた。科学技術の倫理的な側面や、各国の科学者がおかれている状況について、これまで多くの研究が重ねられており、今後もそういった努力は続いていくだろう。ただし、ここには単純な理想主義ではなく、アメリカ社会の深刻な状況も反映している。よく知られているように、アメリカでは宗教右派が政界に大きな影響力を持っており、学問の自由に対して抑圧的であると見なされている。そこで、科学者達は常に学問の社会的意義を問い直し、それを表明していく必要性に駆られているわけである。特に、進化論は宗教右派と科学者の抗争の最前線であり、AAASでも多くの議論が交わされていた。

 一方で、人権や社会的利益を追求することの見返りが存在しているという側面も指摘出来る。例えばアフリカの問題などは今や世界最大の非営利財団であるビル&メリンダ・ゲイツ財団が積極的に支援を行っている。このため、第三世界の健康問題には大きな予算がついている。こういったことは、研究開発費が(企業による営利活動以外は)国費に限られており、研究費の分配も政府による戦略的な配分か、割り当てられた予算を科学者たちで分配する科研費に限られている日本ではあまり考えられない。日本でAAASのような試みが自発的に行われてこなかったのは、研究費の総額が天下りで決まっており、配分に関して口を出す業界メンバーはより少ない方が良い(逆に、世間をいくら巻き込んでもビル・ゲイツのような資金提供者は現れない)という事情が影響しているとは言えるだろう。

 そうしてみれば、「科学技術コミュニケーション」という面でも、アメリカでは常に科学者が科学者以外のジャーナリストや政治家、法律家、慈善事業家たちを科学のシンパにしておかなければいけないというモチベーションが働くのに対して、日本では研究費にアクセスする権利を持った小数の同業者達以外のものを議論に参加させまいという力が働くと見ることも出来るのではないだろうか? 現実問題として、AAASに参加している科学者たちが科学をアメリカの文化として根付かせようと言う活動にこれまでも極めて熱心だったのに対して、日本の科学者達は極めて閉鎖的であるという非難を受け続けてきた。残念ながら、ノンアカデミック・キャリアを選ぼうとした瞬間に、指導教官から「じゃあ博士号はいらないね」と言われたり、そこまで酷くなくても指導がいい加減になるというのはよく聞く話である。自分の分野を理解し、場合によっては博士号を持った議員、弁護士、ジャーナリストなどが活躍することが、自分の研究分野にとってどれだけエンパワーメントになるかを考えれば、そういう可能性を自分から封じてしまうのは馬鹿げているだろう。しかし、そういった機感を日本の科学者が共有するようになってきたのは、極めて最近のことである。

 社会一般(General Public)と価値を共有する努力というのは民主制の基本であるが、そういった意味では日本の大学や科学者個人はまだまだ欧米から学ぶところが大きいと言えるだろう。また、日本では「人権」というと机上の空論と見る向きが大きい。もちろん、アメリカ社会が「人権」の名の下に戦争を起こすような矛盾を抱えていることも事実だろうが、「理想」を空論として遠ざけるだけででは異なる価値観を持つ人々や社会の間でのコミュニケーションが成り立たないのも事実である。理想が完全に実現しないとしても、すこしでも理想に近づくための努力はあるはずだし、理想を追求することが自分たち自身のエンパワーメントにもつながる、という信念にも見習うべき所があるだろう。また背景に「個別の理想の可否は兎も角、個々人が理想を追求することが結果として社会を良くするのであり、その追求には一定のインセンティヴが維持されるべきだ」という哲学が存在していることも見逃すべきではないだろう。

2008年2月8日金曜日

サイエンスショップ研究員(「市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織の開発」研究員)公募

以下のとおり、本研究プロジェクトの研究員を募集します。
募集期間が短くて申しわけありませんが、たくさんのかたのご応募をお待ちしています。


 サイエンスショップ研究員(「市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織の開発」研究員)公募
http://cscd.osaka-u.ac.jp/activity/view/125

 平成19年10月より始まった下記の研究開発プロジェクトの推進のために、研究員を募集します。科学技術と社会、大学と地域を結びつける仕事に熱意を持って取り組んでくださる方を求めます。

▼研究開発プロジェクトの概要
・研究開発プロジェクト名
  「市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織の開発」
  ((独)科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」平成19年度採択事業)

・研究代表者
  平川秀幸(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)

・研究実施期間
  平成19年10月1日 〜 平成24年3月31日

・研究開発目標
  環境問題やエネルギー問題、食品安全問題など、科学技術が関連する現代社会の問題に適切に対処し、解決していくためには、専門家や政策決定者、企業、市民活動団体や個々の市民など、多様な主体が交わる「公共コミュニケーション」が不可欠である。これを促進するために本プロジェクトでは、公共コミュニケーションの支援を市民と共同で行う「インタフェイス組織」を大学に設立し、他大学にも移転可能な事業モデルとして提示することを目的とする。このため、特に科学技術の専門家と市民の関係に焦点をあてて、これまでの我が国の公共コミュニケーションに不足している「熟議(熟慮と討論: deliberation)」と「協働(collaboration)」のための手法を新たに開発し、既存の手法と合わせて手法ライブラリと手法の運用マニュアルを整備する。同時に、組織の運営基盤の研究開発を行い、総合的な公共コミュニケーション支援を行う体制を構築する。


▼募集要項
・仕事の内容
  市民と研究者・学生のあいだを仲介し、適切な研究プログラムの立案を行う(サイエンスショップ職員業務)。および、それらの業務について、科学技術コミュニケーションという立場から分析を行い、日本においてサイエンスショップを確立することに資する研究を行う。

・勤務の形態
  週24時間以上の非常勤

・任期
  1年任期(更新あり)

・職位
  特任研究員

・募集人数
  1名

・応募資格
  1) 本研究開発プロジェクトの趣旨に賛同し、社会と大学のコミュニケーションを促進することに尽力して頂ける方
  2) 次の内、いずれかの条件を満たすことが望ましい。
   * 修士号以上の学位を保持し、科学技術コミュニケーション研究に携わる意志のある方
   * 企業の社会貢献部門やNPOなどで2年以上の実務経験を有し、大学の社会貢献などに関心のある方。

・募集期間
  2008年2月7日 〜 2008年2月20日(応募書類は、2月20日必着でお送りください。)

・着任時期
  平成20年4月1日以降のなるべく早い時期に着任出来ること

・応募書類
  履歴書(市販のもので結構です)
  業績リスト(あれば)
  代表的な論文、著作等(最大3編)のコピー各1部(修論・博論は不可)
  志望動機を述べたエッセイ(2000字以上)

・応募書類の送付先
  565-0826
    大阪府 吹田市千里万博公園1-1
    大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
    平川秀幸
    電話:06-6816-9494
    (送付の封筒に「サイエンスショップ研究員応募書類」と明記すること)

※お問い合わせは下記のフォームからお願いします。
 http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/inquiry/