阪大の中川です。
散歩をしたくなるような春の陽気にもかかわらず、シンポジウムは立ち見が出る程の盛況ぶりでした。
個人的に面白かったのは、第2部のパネルディスカッションでの北大の吉田さんの話の中に、「社会リテラシー」という言葉が使われていたことです。吉田さんは北海道でGMOに関する様々な会議に関わってこられた方で、その経験を多く語ってくださいました。その話の中で、「専門家の社会リテラシーと非専門家の科学リテラシーはペアで向上していった。」という内容のことを話されていました。
この場合「社会リテラシー」は「非専門家が言うことを聞き、考えていることを読みとり、話し合おうとする態度をとれ、話し合える能力」ということになるのでしょう。人とディスカッションをすることが多いはずの研究者の社会リテラシーが低いというのは、おかしな話だと思いました。他人とのディスカッションの中で、相手の意見に耳を傾けることで、新しいアイディアが生まれるという経験をしているだろうからです。何にこだわって、専門家(研究者も含む)は壁を作るのだろうと思いました。吉田さんによれば、自分の意見が変わってしまう、そんな「変化が恐い」のだそうです。それは非専門家も同じようですが。
吉田さんは、経験から「専門家が歩みよると、市民が歩みよる。でもその逆はみられなかった。」ともおっしゃっていました。歩みよりのキーは専門家が持っているようです。両者を隔てる壁が「恐さ」のせいであるならば、壊せるのは作ったご本人しかいないはずです。専門家の方々には是非とも壊して頂きたいなと思う次第です。以上、ちょっとした感想でした。